事例紹介

膝の動揺関節(12級7号)について,事故との因果関係が認められ,金1670万円増額

 
1 事案の概要

依頼者は,本件事故当時,18歳の男性の大学生であり,原動機付自転車を運転して直進走行中,対向車線から右折してきた加害自動車に衝突され,右膝複合靭帯損傷等の傷害を負いました。
ところが,依頼者は,事故から5日後,病院でMRI検査等の精密検査を受ける前に,歩行中,バランスを崩して受傷部位に加重をかけ,その際,「グキッ」という音がし,その後,膝の症状が悪化しました。
依頼者は,靭帯再建手術等,約1年間の治療を受けましたが,膝の不安定感は改善しませんでした。
また,依頼者は,今度は,事故から約1年半後,階段を降りていた際,膝崩れを起こし,階段から転倒し,さらに膝の症状が悪化しました。
依頼者は,事故から3年2か月後,症状固定となり,膝前後従事靭帯損傷後の動揺関節が残存し,1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すものとして,後遺障害等級12級7号に該当すると認定されていました。
 
2 訴訟前の交渉

依頼者は,相談時,相手方保険会社から,約280万円(既払金200万円)の損害賠償の提示を受けていました。
相手方保険会社は,事故と依頼者の後遺障害についての因果関係を否認していました。
 
当事務所は,本件事故について,依頼者から委任を受け,相手方保険会社との間で,交渉を始めましたが,相手方加入保険会社が対応を拒んだため,訴訟を提起しました。
 
3 訴訟の結果

当事務所は,訴訟において,依頼者の医療記録を精査し,依頼者の後遺障害について,事故と相当因果関係があり,また,その後遺障害は,残存するとして,労働能力喪失期間45年間(大卒~67歳)を主張しました。
これに対して,相手方は,依頼者の後遺障害について,事故と相当因果関係がなく,仮に相当因果関係があるとしても,その主たる原因は,階段からの転落等にあるとして,50%の減額(寄与度による減額)を主張してきました。
そこで,当事務所は,依頼者のカルテ等の医療記録の精査だけでなく,依頼者の主治医との面談による症状の聞き取り調査や主治医に対する証人尋問等,徹底して,依頼者の症状が本件事故に起因するものであり,一生涯にわたり,完治の見込みがないことを主張立証しました。
その結果,裁判所は,次のとおり,一定の寄与度による減額をしたものの,依頼者の後遺障害と本件事故との因果関係を認め,かつ,労働能力喪失期間を一生涯とし,逸失利益1271万円を含む,総額約1750万円の損害賠償を認めた内容での和解勧試を行い,同内容での裁判上の和解が成立しました。
 
【和解勧試】
逸失利益   1271万円
(労働能力喪失期間40年間)
過失相殺      20%
寄与度減額
事故から5日後~1年半後
​→10%
事故から1年半後~症状固定
→40%
合計     1950万円
(うち200万円既払い)
 
4 本事例の意義

事故後,事故以外の原因で,事故によって負った症状が悪化したり,事故によって負った症状と相俟って新たな症状が現れた場合,最終的な症状と事故との因果関係を否定されたり,大幅な減額をされることがあります。
特に,事故以外の原因だけで,その症状が出てもおかしくないと考えられるような場合には,非常に難しい問題が生じます。
そのような中,本事例は,2度も,問題となる事故以外の出来事がありながら,事故と症状との間の相当因果関係が認められ,結果として,1670万円もの増額に成功したことに意義があります。
医学的知見を総動員した主張立証が功を奏し,適正な賠償が実現した一例です。
 
以上
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