事例紹介

異議申立てをして,12級の嗅覚障害が認められ,24年間14%の労働能力の喪失が認められた


1 事案の概要

依頼者は,歩行中,貨物自動車に衝突され,腰椎横突起骨折,後頭部打撲等の傷害を負いました。
依頼者は,事故の約半年後,臭いを感じなくなっていることに気付き,この症状について,治療を開始しました。
依頼者は,事故後約1年経っても,腰部の痛みと嗅覚の喪失が残存していたため,後遺障害等級の認定を申請しました。
依頼者は,腰部の痛みについて,後遺障害等級14級の認定を受けることができましたが,嗅覚の喪失について,非該当との認定になりました。
これを受け,依頼者は,相手方保険会社から,損害賠償金について,金408万2343円(うち既払金218万0648円)との提示を受けていました。

2 後遺障害等級の異議申立て

当事務所は,嗅覚の喪失について,後遺障害等級12級の認定を受けることを目標に,依頼者の診療録一式を取り寄せました。
また,当事務所は,本件事故前の依頼者の嗅覚検査の結果も取り寄せました。
さらに,当事務所は,依頼者に対し,嗅覚障害に関する新たな検査も受けてもらいました。
そのうえで,当事務所は,これらの診療録や検査結果を分析し,依頼者の嗅覚の喪失について,本件事故と相当因果関係があり,後遺障害等級12級に該当する旨の異議申立てを行いました。
その結果,依頼者は,嗅覚の喪失について,後遺障害等級12級の認定を受けることができました。

3 賠償額の交渉

⑴ 相手方保険会社の最初の提示

依頼者は,この異議申立ての結果を踏まえ,次のとおり,金1163万7857円の損害賠償の提示を受けました。

傷害慰謝料
→金101万8600円
後遺障害逸失利益
→金669万8241円
(基礎収入金460万9482円×労働能力喪失率14%×労働能力喪失期間15年のライプニッツ係数10.3796)
後遺障害慰謝料
→金170万0000円
合計 金1163万7857円
(うち既払金218万0648円)

⑵ 相手方保険会社の二回目の提示

これを受け,当事務所は,相手方保険会社と交渉し,相手方保険会社から,次のとおり,金1266万1157円の損害賠償の提示を受けました。

傷害慰謝料
→金112万8000円
後遺障害逸失利益
→金669万8241円
(基礎収入金460万9482円×労働能力喪失率14%×労働能力喪失期間15年のライプニッツ係数10.3796)
後遺障害慰謝料
→金261万0000円
合計 金1266万1157円
(うち既払金218万0648円)

相手方保険会社は,これ以上増額をしない理由として,嗅覚の喪失が一般的に労働能力の喪失を伴うものではなく,依頼者についても,労働能力を喪失しているとは認められないことを主張していました。

⑶ 相手方保険会社の三回目の提示

そこで,当事務所は,依頼者の業務内容や事故前後の収入に関する書類を取り寄せ,依頼者について,嗅覚の喪失により,現実に業務への支障が生じ,収入が減少していることを立証する等して,増額交渉を行いました。
その結果,相手方保険会社は,次のとおり,金1545万6532円の損害賠償金を提示しました。

傷害慰謝料
→金141万5300円
後遺障害逸失利益
→金890万4616円
(基礎収入金460万9482円×労働能力喪失率14%×労働能力喪失期間24年のライプニッツ係数13.7986)
後遺障害慰謝料
→金290万0000円
合計 金1545万6532円
 (うち既払金218万0648円)

⑷  最後の増額交渉と和解

当事務所は,この提示に対し,訴訟になれば,弁護士費用と遅延損害金が認められることを主張し,この弁護士費用と遅延損害金を認めてもらうよう交渉しました。
その結果,依頼者は,相手方の保険会社から,弁護士費用と遅延損害金の一部として,さらに金172万4116円を増額してもらい,金1718万0648円(うち既払金218万0648円)で和解することができました。

4 本事例の意義

⑴ 本件は,事故後約6か月が経過して,嗅覚の喪失に気付いたことから,事故と嗅覚の喪失との間の相当因果関係の立証が難しい事案でした。
当事務所は,診療録の分析や事故前の検査結果等の取寄せにより,この相当因果関係の立証に成功し,自賠責において,異議申立てにより,12級の嗅覚障害を認めてもらったことに意義があります。

⑵ また,嗅覚の喪失は,一般に,直ちに労働能力の喪失に結びつくものとはいえないと解されており,労働能力喪失率や労働能力喪失期間を制限する裁判例も多くあります。
本件は,このような嗅覚の喪失について,67歳までの24年間,後遺障害等級どおり14%の労働能力の喪失を認めてもらったことに意義があります。

⑶ さらに,依頼者は,相談時,相手方保険会社から,金408万2343円の提示を受けていたにすぎませんでしたが,当事務所が受任し,異議申立てと交渉により,金1309万8305円増額した金1718万0648円の高額の損害賠償金が認められたことも,大きな意義が認められます。
以上
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