保険金請求事件
骨子 | 火災保険金請求について、保険加入の会社のコンサルタントの放火によるもので、故意による事故招致にあたらないが信義則上保険金支払が免責されるとされた事例
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担当弁護士 | 河野美秋、野田部哲也 |
判決の引用 |
争点(信義則違反)について 「本件火災の出火場所が本件建物内の作業台付近であったこと、本件建物は施錠されていたこと、原告の経営状態は芳しくなかったこと、本件各契約の締結が本件火災と近接していること、本件各契約は原告の在庫価格に照らして著しく高額な保険金額を目的として締結されたこと等の事実を総合すれば、本件火災は原告の関係者による放火によるものであったと考えられる。そして、丙川は、原告の経営に関与するようになってから、回収する見込みのない多額の資金を原告に投入したこと、本件各保険は、原告代表者や花子ではなく、丙川の主導で締結され、その保険料は丙川が立て替えたこと、丙川は、本件火災後原告代表者や花子の依頼もないのに、保険金額全額である四〇〇〇万円を被告●●に対し極めて強い調子で請求したこと等を総合すれば、本件火災は何らかの手段で本件建物の鍵を入手した丙川による放火であったと認めるのが相当である。 ところで、丙川は、原告の経営に深く関与していたとはいえ、監査役にすぎず、本件建物を事実上管理していた訳でもないから、本件約款二条の「理事、取締役または法人の業務を執行するその他の機関」に該当するということはできない。したがって、被告らの同条による免責の主張は理由がない。」 |