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事例紹介

損害賠償請求事件

骨子 被害者(女・22歳)の後遺障害(併合7級)による逸失利益の算定例−外貌醜状(障害等級7級12号該当)による労働能力喪失を考えることができないとしても、顔面の知覚障害異常による意思疎通についての一定の障害や左下腿の神経症状(障害等級14級10号該当)については相当程度評価すべきであり、現実の収入上の不利益等も考慮すると、労働能力喪失率は35パーセントと認めるのが相当とし、労働能力喪失は67歳までの就労期間の全期間にわたって継続するのが相当と認めた。
担当弁護士 河野美秋、野田部哲也
判決の引用
このように、原告については、身体的な能力が特に重視される海上自衛官として、外貌醜状自体についての労働能力の喪失をさほど観念することができないとしても、一方で、顔面の知覚異常による意思疎通についての一定の障害や左下腿入上の不利益等も考慮すると、原告の労働能力喪失率は35パーセントと認めるのが相当である。
また、逸失利益算定の基礎となる労働能力の喪失期間については、海上自衛隊(3等海曹)である原告は、現時点では53歳をもって定年退職するものと見込まれるところではあるが、今後の社会情勢や国家公務員の勤務体系等には不確定なものがあること、原告の退職後の労働能力については、海上自衛隊を勤め上げた者の再就職として、身体的な後遺障害の程度を軽視することはできないこと、前記のとおり、特に外貌醜状については、単に外見自体というよりも意思疎通等による不都合を主として考慮したものであって、加齢による労働能力喪失率の減少を認める必要性に乏しいことなどからすると、上記の35パーセントの労働能力喪失は、原告の就労可能期間の全期間にわたって継続するものと認めるのが相当である。